京論壇2019ブログ

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【分科会コラム】競争と人生分科会 〜「頑張る」とは〜

京論壇の半分は東大生で占められている。

 

ということで、東大らしい話題を一つ。

 

東大の進振り制度。みんなも一度は聞いたことがあると思う。

 

1年生と2年生の途中までの成績を元に、3年生からの進学先を決める制度で、その競争は熾烈を極める。

 

と言いつつ、僕の所属している文一ではここ数年少し奇妙なことが起きている。

 

法学部文一枠が底割れしているのだ。

 

簡単に言ってしまえば、文一から法学部に行くのに点数なんていらない、ということだ。

 

やったね。頑張らなくていいじゃん。

 

みんなそう思うと思う。

 

確かに、みんなそんな安心感の中にいると思う。

 

でも、実際はみんなが思ってるより、みんな頑張ってる。

 

点数なんかいらないのに、必死に試験勉強する。

 

––––なんで?

 

そんな僕も、いい点数取ろうとして勉強してる真っ最中。

 

「競争と人生」

 

そんなテーマにぴったりな話題だと思った。

 

頑張らなくていいのに頑張る理由って何なんだろう?

 

何も役に立つことのない点数を取るために、何をそんなに頑張ってるんだろう?

 

中国のネットで話題になっている言葉がある。

 

「仏系」

 

他人の意見に関わることなく好きなことをして生きていく。

 

必要最低限の要求を満たせば、それ以上追求しない。

 

ニートで生活できるならそれでもいいとまで考える。

 

「仏系」にとって文一の環境は、願っても無い場所だと思う。

 

他人と無理に競争して傷つくくらいなら、競争なんて必要ない。

 

自分の好きなことだけをして行きていけるなら、そっちの方がいい。

 

関連して、もう一つ、面白い話題を紹介したい。

 

「BI」という言葉を聞いたことがあるだろうか?

 

ベーシックインカム」といって、年齢・性別・所得の有無を問わず、すべての人に所得保障として一定額の現金を支給する制度である。

 

もし、努力しなくても暮らしていけるなら、あなたは努力するだろうか?

 

AIが人の仕事を奪うに連れて、仕事の獲得競争はますます激化すると考えられる。

 

そんな中で、もしBIが存在していたら、あなたはどうするだろうか?

 

ここで、僕は重要なテーゼを提示したい。

 

人は、何のために頑張るのか?

 

頑張らなければならないから頑張る、なんて答えは求めてない。

 

だって、頑張らなくていい世界がすぐそこまで来てるんだから。

 

じゃあ、何のために頑張るのか?

 

ここから先は、僕の考えになる。

 

是非、みんなもこの先を読む前に、このテーゼについて考えてほしい。

 

––––シンキングタイム––––

 

きっと、その答えは「自分が本当にやりたいこと」にあるのだろうと思う。

 

あなたはその「本当にやりたいこと」に向かって頑張る。

 

その「頑張る」ことによって、あなたの価値が決める。

 

ここで言う「価値」は、社会によって決められるものでは、決してない。

 

社会における「価値」ではなく、自分自身における「価値」なのである。

 

文一の環境は、この重大なテーゼを如実に表している。

 

点数という価値基準なんかに縛られずに、自分の好きなことができる。

 

自分の好きなことに、好きなだけ「頑張る」ことができる。

 

もちろん、「頑張ら」ないってこともできる。

 

そんな自由の中で、自分が、いや、自分だけが、自分の価値を決めることができる。

 

この奇妙な現象も、視点を変えてみれば、素晴らしい環境じゃないかって思う。

 

世の中には、様々な価値観がある。

 

他人の価値観を否定してはいけないけれども、かと言って、絶対視する必要もない。

 

自分は自分、他人は他人。

 

他人と比べて、傷つく必要なんてない。

 

周りの目を気にして、自分の好きなことができなくなる必要なんてない。

 

他人と戦うために競争するんじゃなくて、自分と戦うために競争する。

 

「頑張る」って、そういうことだと思う。

 

––––最後に。

 

あなたが考えた「何のために頑張るのか」に対する答え。

 

一生、忘れずに大切にしていってほしい。

 

その答えが、これから来る世界の中で、あなたの価値を決めるものになるんだから。

 

文科一類1年 久保田拓宏