京論壇2019ブログ

京論壇2019公式ブログです。活動報告やイベント告知などをおこないます。HP: https://www.jingforum.org/

ボードメンバー紹介【中島礼朗】

こんにちは!本日は副代表紹介第3弾・最終回です!
次回からは議長の紹介が始まります!

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自分の信じるものを言語化する、ということ。

 

僕にとって非常に難しいことでした。

大学の授業や日々のニュース記事、SNS等で様々な社会問題に関する様々な言説と、様々な”当事者”の声を聞き、全てに納得し、「そういう考え方もあるよね」と知った気になり、変わらず社会の無関心の中で日々を送る。こんな経験は皆あるのではないかと思います。少なくとも去年の僕はそんな感じでした。

人から「君はどう思うの?」と聞かれた時も、自分が聞きかじった言説をいくつか並べてみて、議論ができている気になる。そんな奴でした。結局自分の意見を述べることはできなかった。

情報の洪水の中で自分の価値観を見失っていたのです。

 

そんな去年の自分に一つ大きな機会をくれたのが京論壇でした。

京論壇という団体は奇妙な団体です。

なにをするの?と周りの人に聞かれると「議論をします」と答えるしかない。夏休みの100時間を使ってひたすら北京大生と東大生が議論をする団体、京論壇。しかも二週間も泊まり込むし。

 

一つ大きな特徴として、京論壇の議論が現実世界で起こる、という点が挙げられます。ニュース記事等々の言説からでぼんやりと思い描く世界に関しての話ではなく、僕ら・彼ら彼女らが生きる国で起きていることに関しての議論をします。

 

議論は少人数で行われます。東京大学から5名、北京大学から5名。この10人で100時間議論するわけですから、黙っているわけにもいきません。

「君はどう思うの?」が繰り返されます。

議論のテーマに関して、そして他の人の意見に関しての意見を求められ続けます。

他のメンバーの意見に関する違和感、心の何処かにぼんやりとある原体験、感情、すべてを言語化することが求められます。

メンバー10名のバックグラウンドは当然全く異なります。北京大生のバックグランドに関しては、もはや自分が想像してこともないような人生を辿ってきている人もいます。当然価値観も違い、自分の頭は違和感でいっぱいになります。

それも全てを言語化することが求められます。

違和感の言語化は自身の軸の言語化と表裏一体です。それゆえに、100時間の議論は、自分の価値観と向き合い続ける100時間を意味します。

この経験は、非常に有意義でした。

 

もちろん、今の自分もまだまだです。自分の価値観なんていまだにわかりません。でも去年の京論壇での100時間は、確実に自分の軸に光を当て、振り返りたくないとひた隠しにしていた原体験にも目を向けることで自分の感情の源泉を知らせてくれました。自分の意見を持つこと、価値観を知ること、はここから始まるのかなと思います。

 

余談ですが、京論壇のメンバーは最高に魅力的です。議論が終わったら皆お部屋に戻って自省を繰り返す寂しい二週間ではなく、いつまでも自分の考えを話し、お互いを理解しようとする気概に溢れた意欲的で、面白いメンバーです。だからこそ夏休みの二週間を捧げたとしても素晴らしい日々だったと振り返れているのだと思います。

 

社会に出て、一人の人間として生きていく上で、主張できる大人になりたい。一度しかない人生、いつ死ぬかもわからないから、とりあえず自分が好きなものを愛し、好きなことを言って、好きなもののそばで、好きに生きる。そんな生き方のためには、自分が何を好きで、何を思う動物なのかを知る必要があります。

 

自身は他者との関わりの中で定義され、自分は自省の先に見つかります。京論壇はそのための素晴らしい機会でした。

 

今年は副代表として、各自が自分と必死に向き合い、他者を必死に理解しようとする。そんな100時間が生まれる環境づくりに尽力できたらと思います。

 

京論壇2019副代表 東京大学二年 経済学部進学予定 中島礼朗

 

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僕を京論壇に導いてくださった大島さん(京論壇2017参加者)とタイにて。

写真右側が僕です。大島さんは、僕がお世話になっている大きな大きな先輩なのです、いい笑顔。

ボードメンバー紹介【鎌倉萌江】

あけましておめでとうございます。

本年も、京論壇2019の活動を宜しくお願いいたします。

 

さて、2019年第1回目のブログは、副代表紹介第2弾です!

 

 

こんにちは、2019年度副代表・法学部内定2年の鎌倉萌江と申します!

 

京論壇2017ではジェンダー分科会の参加者として、2018では副代表として、そして2019では昨年度に引き続き、副代表として京論壇に携わることとなりました。

 

昨年度のブログや京論壇公式Facebookで私の自己紹介は既に度々載せてきたので…今回の投稿では、「2年間の京論壇生活で気づいた京論壇の良さ」を綴っていきたいと思います。

 

そもそも2017年度京論壇に参加したい、と私が思ったのは、「自分がやりたいこと」そして「東京大学でしかできないこと」という2つが混じり合ったところに、京論壇が含まれていたからです。

 

というのも私は2017年3月まで他大学の学生でして(しかも2年間他大学に在籍し、第3学年では民法のゼミに入ることが決まっていました)。2017年春東京大学に入学し、再び1年生として大学の門をくぐることになった私は、新歓期の刺激的な荒波に呑み込まれながら、「東京大学でしかできないことを経験できる」サークルに入ろうと、サークル探しに熱を上げていたのです。

 

しかし、キャピキャピキラッキラの1年生に囲まれながら、エセ1年生21歳としてサークル新歓イベントに参加しても、何百と配られる新歓ビラに目を通しても、私が望んでいるようなサークルは中々見つかりません。どのサークルも、私が一番望んでいる「東京大学ならでは」という魅力に欠けているように感じられたのです。

 

そんな中一際目を引いた団体が京論壇でした。京論壇の学生たちはサーオリに向け皆スーツを着ており、良くも悪くも私の中に強烈な印象を与えました(このスーツ新歓は、あまりにも“悪目立ちする”とのことで、2018年度に廃止されましたが笑)。

 

そして最終的に、東京大学北京大学の学生からなる京論壇、というある種の閉鎖的な環境に身を置きたいと考えた私は、面接を何とかくぐり抜け、晴れて京論壇の一員となりました。そして月日は流れ、私が京論壇の活動に携わりはじめてから、今春でいつしか3年目を迎えようとしています。

 

そんな私から見て、良くも悪くも京論壇の一番の特徴とは、一言で表すとその「排他性/閉鎖性」にあると感じています。

 

東京大学北京大学という排他的な集団、ある種現実味のない環境。そんな異空間とも言える環境下で、日中の将来を見据えつつ、理想論を軸にして議論をし尽くす。

 

勿論この排他性は時たま外部から批判される部分でもあります。「東大生・北京大生なんてエリートが集まって、その議論は現実から乖離していないのか?」そんな言葉を投げかけられることもあります。

 

しかしながら京論壇経験者として、京論壇の参加意義を語るのであれば、その意義は「議論自体で得られた知見自体にはなく、むしろそれを通して得られた自省や経験、その経過にある」と言えると思います。

 

北京大生と東大生が集まり、北京と東京で100時間を超える議論を交わしていくこと。朝から晩まで議論をし、ある種の極限状態で自省と発言を繰り返していくこと。所謂エリートと見なされた学生たちが一体感を持って、共に時間を過ごすこと。京論壇という排他的・閉鎖的な環境でしか得られない、そんな環境だからこそ得られる経験が、きっとあると思います。

 

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写真は、京論壇2017ジェンダー分科会での集合写真です。

 

 

最後に、私が1年半前に執筆した京論壇2017のブログから、当時の私が感じた京論壇への参加意義を引用してみたいと思います。

 

「北京側と議論をできて良かった」と思えた理由は、単に興味深い発見ができたから、というだけではありません。議論をする中で相手の立場を理解し、その理由を探ること。このプロセスが、凄く面白く感じられたのです。

 

2019年、新たに京論壇に入ってくる参加者たちには、私が味わったように、議論の過程でそれぞれに何かを感じ取ってほしいと思います。そして、京論壇というフォーラムを利用し、そしてその排他性/閉鎖性を存分に生かし、京論壇でしかできない経験・自省を得てほしいと思います。

 

私は副代表として、そして京論壇の活動を支える者として、京論壇が参加者一人一人に特別な場所となるよう、本年も努めて参りたいと思います。

 

本年も、京論壇の活動をどうぞよろしくお願いいたします!

 

 

文責:副代表 法学部(内定)2年 鎌倉萌江

ボードメンバー紹介【石川玲】

こんにちは。法学部2年の石川玲といいます。

 

僕は兵庫県川西市という場所で高校時代を過ごし、通っている高校からは44年目にして2人目の東大生として大学に入学しました。

入学前健康診断の存在も知らずにすっぽかすなど、右も左も分からない状態で大学の門をくぐったのですが、大学や東京での様々なチャンスに触れての無数の新たな出会いに途方もないショックを受けました。

「自分の知らない世界がこれほどまでにあったのか」

自分がいかに井の中の蛙だったかを思い知ったと同時に、今までに触れたことのなかった人、機会、場所の一つ一つに感動と興奮を覚えた大学一年生を過ごしました。

その後、様々な理由から2年間休学をし、キリスト教のボランティア活動に従事したのですが、そこでも自分が目を向けたことのなかったような、目を向けようとしてこなかったような現実を多く目にし、世界をさらに広げることができました。そのように自分の世界が広がっていくのを感じては満足をしていたのですが、休学1年目を迎えた頃に話をしたある方の言葉にハッとさせられたのです。

 

「いろんな女性と付き合うのと1人の女性とずっと付き合うのと、どちらの方が学べるか? 答えは1人の人と深く付き合う方だ」

 

異性愛を前提にしている点でPolitically Incorrectであるとの指摘は甘受するとして、)この言葉を聞き、ふと振り返ってみると、いかに自分は世界が広がったような気がしていながら人としての深みは全く増していなかったのかと痛烈に反省をしました。単なる「経験リストだけの物知り」に向かっていて、「本当に」知っていることは何もないのではないかと強く反省をしたのです。

それからの1年間は、初めての経験を求めて知らない世界を横に広げようとするのでなく、目の前にあるものをどれだけ深められるかという、世界を縦に深める1年間を過ごそうと努力しました。詳しく書くとドストエフスキーの小説くらい長くなってしまうので省略しますが、そこで気づいたことは、世界を横に広げることは自分の知的好奇心という器を満たすが、世界を縦に深めることは自分という器を大きくし、ひいては他人の器を満たす助けもできるのだということです。そして、インターネットが発達し知らない情報はすぐに得ることができるようになり、「聞いたことがないが聞きたい曲」がSpotifyの最も人気のプレイリストのコンセプトとなっているように世界を広げるのに積極的な態度すら必要なくなっているこの時代に、世界を深められることの価値は増しているのではないかと感じます。

 

そのような気づきを得て復学し、900番講堂にいつものように座ってふと見たチラシに「中国のトップ学生と100時間の議論」と書かれているのを見つけました。

「ここでならさらに世界を深められるかもしれない」

すぐに応募し、「競争と正義」分科会で主に教育分野における社会正義と競争について議論をしてきました。議論の詳しい内容はぜひホームページにある報告書を読んでいただければと思いますが、ひとつここで述べておきたいのは、「世界は深まった」ということです。

 

井の中の蛙大海を知らず」

 

中国で生まれたこの荘子の言葉は、日本に伝来してから独自に一節が付されました。

 

井の中の蛙大海を知らず。されど空の深さを知る」

 

まだまだ自分は井の中の蛙であり、そして人生を一度過ごすだけでは世界を完全に広げることはできないとも知っています。それでも、自分の与えられた世界を深めることはできます。京論壇が世界を深められる場となるように、運営メンバー一同全力を尽くしていきたいと思います。

 

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活動報告 ー2019年度ボード始動ー

こんにちは!京論壇2019年度副代表の石川です。

 

京論壇2018が10月に幕を閉じ、息つく間もなく来年度の運営メンバーが組織されて準備が進んでおります。

 

「今年の議論のこの点は非常に良かった」

「最近の日中関係変化を踏まえて、京論壇はこのように変わるべきだ」

「もっと参加者一人ひとりが京論壇を通して多くを得られるために、運営としてはかくあるべきではないか」

 

各々授業や部活、インターンシップが終わってから駒場キャンパスに集まり、来年度の方針や役割について熱い議論を日々交わしています。

あるメンバーは北京大生との襟を開いた議論から大きなショックを受け、あるメンバーは文化について話す中で自らのアイデンティティについて考え直す機会があり、一人ひとりが今年の京論壇での経験を通して、北京大生という他者に対する理解のみならず、自らについての認識を改めることができたと語りました。

 

「そもそもみんなは何で京論壇に参加しようと思った?」

 

代表の孔が問いかけると、それぞれが各々の持つ思いを話しました。北京と東京で一週間ずつ、朝から晩まで議論に議論を重ねる。そんな「普通じゃない」プログラムになぜ参加したのか。参加を決めた時と今とでどのように変化が生まれたか。

 

来週から2019年度運営メンバーの紹介を掲載していきますが、五者五様の背景、価値観を持っている我々の熱い思いをぜひともお読みください。

 

先週に投稿した代表、孔による挨拶に続き、来週は石川による自己紹介をお届けいたします。

 

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代表挨拶

みなさん、こんにちは!京論壇2019年度代表に就任しました、東京大学経済学部3年の孔です。

 

今まで参加してくださった参加者のみなさん、そして応援・協賛してくださった様々な企業や団体の皆さま、大学の先生方が支えてくださったおかげで、京論壇は来年で14年目を迎えられます。改めてすべての関係者の皆様に感謝を申し上げます。

2005年の設立以降、毎年京論壇は東京大学北京大学の学生が互いの価値観をぶつけ相互理解を深める場となってきました。私も2018年度の京論壇に参加しましたが、言葉の壁を越えて互いの価値観を理解し、一生続くようなかけがえのない関係になっていく過程をみて、心の底から深い感動を覚えました。

 

この挨拶では、私の代表としての思い、そして2019年度の京論壇をどのようなものにしていきたいかについて書きたいと思います。

名前からも分かる通り、私は中国系です。両親が中国出身ですが、僕自身は小さい頃に中国在住の経験があるものの日本生まれ日本育ちで国籍も日本ですので、いわゆる"華人"と呼ばれる存在です。そのため、中国は僕にとって近いようで遠い存在でした。その後大人になっていくにつれて、中国の文化や歴史などを学んでいくうちに、ますます中国という国に興味を持つようになりました。中国は何千年にもわたる悠久な歴史を持つ一方で、近代以降は帝国主義による侵略を受け、近年は急激な成長を遂げている国です。日本とは漢字といった共通の文化もある一方で、異なる文化や歴史背景、社会状況を多く有する国でもあります。そのため、両国には摩擦の歴史も数多くありました。京論壇が設立された2005年はまさに中国において反日デモが多発していた時期です。成長していく過程で、このように両国の摩擦を私も数多く目撃していました。そのため、いかに両国の間に相互理解が成立するかというのは私にとって常に思索を巡らすようなテーマでした。これが私が京論壇に入った理由であり、そして現在代表になっても追究しているテーマです。おそらくこの問いに完全な正解はないですが、この活動を通して少しでも自分の成長と日中間の友好に貢献できればと思います。

 

また、東京大学北京大学の学生という両国のいわゆる"エリート"と呼ばれる人たちが議論するため、現実離れした議論になっているのではないか、という指摘をよく受けます。実際、それなりに恵まれた環境で生まれ育った僕たちが見えていない社会の現状はたくさんありますし、"議論"だけに時間をたくさんかけるとそのようになってしまう可能性は確かに高いと思います。このような指摘は自分が京論壇として活動していた間たくさん聞こえてきたものであり、ではどのようにすれば現実離れした議論を避けられるか、"エリート"だけで議論する我々の活動に意味はあるのか、はたまた社会における"エリート"のあるべき役割とは何か、これらの問いにずっと悩まされていました。完璧な正解はまだ見つけられてないですし、もしかしたら一生見つからないのかもしれませんが、とにかく絶えず現実に目を向けながら、そして自分とは違う立場にいる人たちの立場に立ちながら、少しでもこの社会をよくしようと自分なりに努力をするしかないのかなと今は思っています。私たちが生きるこの社会では、私たちの目に見えないところで発生している問題はたくさんありますし、苦しんでいる人もきっとたくさんいると思います。現実をすべて知ることは不可能ですが、少しでも多くの現実を知ろうとする努力がきっと必要だろうと思います。そして、東京大学という恵まれた環境にいる私たちの目線からでは見えない世界、考えれらないことを少しでも見つけられるよう、さまざまな目線に立たなくてはいけないと思います。これらの努力を通して、自分なりに少しでもこの世界を良くしていけたらと思います。そして、この京論壇が多くの学生にとって、このような世界を良くしていける自分なりの"努力"の第一歩となれるよう、一年間運営にあたってまいりたいと思います。

具体的な方策については、まだまだこれからですが、リサーチの充実を図ったり、フィールドワークの機会を増やしたり、少しでも多くの工夫ができたらと考えております。

 

最後に、我々京論壇はもうすぐ議長の応募を始めます。タフな役職ではありますが、必ず良い経験になりますので、興味のある方はぜひふるってご応募ください。

議長の応募に関してはまたお知らせいたします。

 

それでは、これから一年間どうぞよろしくお願い致します。

 

 

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