京論壇2019ブログ

京論壇2019公式ブログです。活動報告やイベント告知などをおこないます。HP: https://www.jingforum.org/

ボードメンバー紹介【石川玲】

こんにちは。法学部2年の石川玲といいます。

 

僕は兵庫県川西市という場所で高校時代を過ごし、通っている高校からは44年目にして2人目の東大生として大学に入学しました。

入学前健康診断の存在も知らずにすっぽかすなど、右も左も分からない状態で大学の門をくぐったのですが、大学や東京での様々なチャンスに触れての無数の新たな出会いに途方もないショックを受けました。

「自分の知らない世界がこれほどまでにあったのか」

自分がいかに井の中の蛙だったかを思い知ったと同時に、今までに触れたことのなかった人、機会、場所の一つ一つに感動と興奮を覚えた大学一年生を過ごしました。

その後、様々な理由から2年間休学をし、キリスト教のボランティア活動に従事したのですが、そこでも自分が目を向けたことのなかったような、目を向けようとしてこなかったような現実を多く目にし、世界をさらに広げることができました。そのように自分の世界が広がっていくのを感じては満足をしていたのですが、休学1年目を迎えた頃に話をしたある方の言葉にハッとさせられたのです。

 

「いろんな女性と付き合うのと1人の女性とずっと付き合うのと、どちらの方が学べるか? 答えは1人の人と深く付き合う方だ」

 

異性愛を前提にしている点でPolitically Incorrectであるとの指摘は甘受するとして、)この言葉を聞き、ふと振り返ってみると、いかに自分は世界が広がったような気がしていながら人としての深みは全く増していなかったのかと痛烈に反省をしました。単なる「経験リストだけの物知り」に向かっていて、「本当に」知っていることは何もないのではないかと強く反省をしたのです。

それからの1年間は、初めての経験を求めて知らない世界を横に広げようとするのでなく、目の前にあるものをどれだけ深められるかという、世界を縦に深める1年間を過ごそうと努力しました。詳しく書くとドストエフスキーの小説くらい長くなってしまうので省略しますが、そこで気づいたことは、世界を横に広げることは自分の知的好奇心という器を満たすが、世界を縦に深めることは自分という器を大きくし、ひいては他人の器を満たす助けもできるのだということです。そして、インターネットが発達し知らない情報はすぐに得ることができるようになり、「聞いたことがないが聞きたい曲」がSpotifyの最も人気のプレイリストのコンセプトとなっているように世界を広げるのに積極的な態度すら必要なくなっているこの時代に、世界を深められることの価値は増しているのではないかと感じます。

 

そのような気づきを得て復学し、900番講堂にいつものように座ってふと見たチラシに「中国のトップ学生と100時間の議論」と書かれているのを見つけました。

「ここでならさらに世界を深められるかもしれない」

すぐに応募し、「競争と正義」分科会で主に教育分野における社会正義と競争について議論をしてきました。議論の詳しい内容はぜひホームページにある報告書を読んでいただければと思いますが、ひとつここで述べておきたいのは、「世界は深まった」ということです。

 

井の中の蛙大海を知らず」

 

中国で生まれたこの荘子の言葉は、日本に伝来してから独自に一節が付されました。

 

井の中の蛙大海を知らず。されど空の深さを知る」

 

まだまだ自分は井の中の蛙であり、そして人生を一度過ごすだけでは世界を完全に広げることはできないとも知っています。それでも、自分の与えられた世界を深めることはできます。京論壇が世界を深められる場となるように、運営メンバー一同全力を尽くしていきたいと思います。

 

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活動報告 ー2019年度ボード始動ー

こんにちは!京論壇2019年度副代表の石川です。

 

京論壇2018が10月に幕を閉じ、息つく間もなく来年度の運営メンバーが組織されて準備が進んでおります。

 

「今年の議論のこの点は非常に良かった」

「最近の日中関係変化を踏まえて、京論壇はこのように変わるべきだ」

「もっと参加者一人ひとりが京論壇を通して多くを得られるために、運営としてはかくあるべきではないか」

 

各々授業や部活、インターンシップが終わってから駒場キャンパスに集まり、来年度の方針や役割について熱い議論を日々交わしています。

あるメンバーは北京大生との襟を開いた議論から大きなショックを受け、あるメンバーは文化について話す中で自らのアイデンティティについて考え直す機会があり、一人ひとりが今年の京論壇での経験を通して、北京大生という他者に対する理解のみならず、自らについての認識を改めることができたと語りました。

 

「そもそもみんなは何で京論壇に参加しようと思った?」

 

代表の孔が問いかけると、それぞれが各々の持つ思いを話しました。北京と東京で一週間ずつ、朝から晩まで議論に議論を重ねる。そんな「普通じゃない」プログラムになぜ参加したのか。参加を決めた時と今とでどのように変化が生まれたか。

 

来週から2019年度運営メンバーの紹介を掲載していきますが、五者五様の背景、価値観を持っている我々の熱い思いをぜひともお読みください。

 

先週に投稿した代表、孔による挨拶に続き、来週は石川による自己紹介をお届けいたします。

 

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代表挨拶

みなさん、こんにちは!京論壇2019年度代表に就任しました、東京大学経済学部3年の孔です。

 

今まで参加してくださった参加者のみなさん、そして応援・協賛してくださった様々な企業や団体の皆さま、大学の先生方が支えてくださったおかげで、京論壇は来年で14年目を迎えられます。改めてすべての関係者の皆様に感謝を申し上げます。

2005年の設立以降、毎年京論壇は東京大学北京大学の学生が互いの価値観をぶつけ相互理解を深める場となってきました。私も2018年度の京論壇に参加しましたが、言葉の壁を越えて互いの価値観を理解し、一生続くようなかけがえのない関係になっていく過程をみて、心の底から深い感動を覚えました。

 

この挨拶では、私の代表としての思い、そして2019年度の京論壇をどのようなものにしていきたいかについて書きたいと思います。

名前からも分かる通り、私は中国系です。両親が中国出身ですが、僕自身は小さい頃に中国在住の経験があるものの日本生まれ日本育ちで国籍も日本ですので、いわゆる"華人"と呼ばれる存在です。そのため、中国は僕にとって近いようで遠い存在でした。その後大人になっていくにつれて、中国の文化や歴史などを学んでいくうちに、ますます中国という国に興味を持つようになりました。中国は何千年にもわたる悠久な歴史を持つ一方で、近代以降は帝国主義による侵略を受け、近年は急激な成長を遂げている国です。日本とは漢字といった共通の文化もある一方で、異なる文化や歴史背景、社会状況を多く有する国でもあります。そのため、両国には摩擦の歴史も数多くありました。京論壇が設立された2005年はまさに中国において反日デモが多発していた時期です。成長していく過程で、このように両国の摩擦を私も数多く目撃していました。そのため、いかに両国の間に相互理解が成立するかというのは私にとって常に思索を巡らすようなテーマでした。これが私が京論壇に入った理由であり、そして現在代表になっても追究しているテーマです。おそらくこの問いに完全な正解はないですが、この活動を通して少しでも自分の成長と日中間の友好に貢献できればと思います。

 

また、東京大学北京大学の学生という両国のいわゆる"エリート"と呼ばれる人たちが議論するため、現実離れした議論になっているのではないか、という指摘をよく受けます。実際、それなりに恵まれた環境で生まれ育った僕たちが見えていない社会の現状はたくさんありますし、"議論"だけに時間をたくさんかけるとそのようになってしまう可能性は確かに高いと思います。このような指摘は自分が京論壇として活動していた間たくさん聞こえてきたものであり、ではどのようにすれば現実離れした議論を避けられるか、"エリート"だけで議論する我々の活動に意味はあるのか、はたまた社会における"エリート"のあるべき役割とは何か、これらの問いにずっと悩まされていました。完璧な正解はまだ見つけられてないですし、もしかしたら一生見つからないのかもしれませんが、とにかく絶えず現実に目を向けながら、そして自分とは違う立場にいる人たちの立場に立ちながら、少しでもこの社会をよくしようと自分なりに努力をするしかないのかなと今は思っています。私たちが生きるこの社会では、私たちの目に見えないところで発生している問題はたくさんありますし、苦しんでいる人もきっとたくさんいると思います。現実をすべて知ることは不可能ですが、少しでも多くの現実を知ろうとする努力がきっと必要だろうと思います。そして、東京大学という恵まれた環境にいる私たちの目線からでは見えない世界、考えれらないことを少しでも見つけられるよう、さまざまな目線に立たなくてはいけないと思います。これらの努力を通して、自分なりに少しでもこの世界を良くしていけたらと思います。そして、この京論壇が多くの学生にとって、このような世界を良くしていける自分なりの"努力"の第一歩となれるよう、一年間運営にあたってまいりたいと思います。

具体的な方策については、まだまだこれからですが、リサーチの充実を図ったり、フィールドワークの機会を増やしたり、少しでも多くの工夫ができたらと考えております。

 

最後に、我々京論壇はもうすぐ議長の応募を始めます。タフな役職ではありますが、必ず良い経験になりますので、興味のある方はぜひふるってご応募ください。

議長の応募に関してはまたお知らせいたします。

 

それでは、これから一年間どうぞよろしくお願い致します。

 

 

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